改装したときに
どうしてもつくりたかったものが
この個室です。
初めて美容室の個室をみたのは
研修でいったパリのジャックデッサンジュの本店でした。
おもにVIPのお客様のスペースだと
見せて頂いた個室が素晴らしく
また贅沢で
いいなーっと憧れておりました。
でも、今回この個室をつくる
決心をしたのはその憧れだけではなく
あるお客様がきっかけでした。
僕のお客様の中には
御闘病中の方が少なからずいらっしゃいます。
その方は末期の状態で
日に日に弱るからだで
最後に大好きなタレントさんの舞台を観る為に
ヘアカラーでご来店されました。
頑張って綺麗にさせて頂き
ご満足されてお帰りになり
その二ヵ月後に他界されました。
その方がご来店中
気遣う僕らに恐縮され
「ごめんね」とおっしゃったのが
なんだか心にひっかかりました。
車椅子でご来店され移動も困難でしたし
なにより弱ったお姿を見られることも
きっと辛かったでしょう
僕は技術者としてベストは尽くしましたが
オーナーとしてのベストを尽くしたとは
いえないのではないか?
それまでは御闘病の過程で
ウイッグを付けてる方はエステルームで
させて頂いたりしていたのですが
やはりシャンプーなどではフロアに出てくるしかなく
それが気になる方は流さずに乾かしておりました
そんな方々が気兼ねなくウイッグをはずして
カラーやエステもできないか?
その想いが憧れと結びつき生まれたのがこの個室です。
先日、やはりお薬の影響でウイッグになってる
お客様のウイッグのカットをさせていただいたのですが
ウイッグをマネキンにセットして
その方のご希望を確認しながら
目の前でカットする感じはなんだか面白くて
お客様と「なんか不思議な感じですね」と
笑ってしまいました。
ウイッグはもちろん購入先で丁寧に切ってくださいますが
やはり、いつものスタイルを知っている
僕ら担当美容師が切ると
「いつもの」お客様らしいヘアスタイルになりますので
オススメです。
ヘッドスパやエステ、まつ毛パーマでも
使う個室ですが
いろんな事情に対応したい
そんな想いが詰まってます。